株式会社ミロク情報サービス 社長室 CSR推進事務局 参与 濱谷 博通

 

株式会社ミロク情報サービス(MJS)は、全国8,400の会計事務所と10万社の中堅・中小企業および小規模事業者に対し財務会計・税務を中心とした各種システムを提供するITベンダーです。同社は2008シーズンからサッカーJ1リーグ・東京ヴェルディのスポンサーを務めており、19シーズンにわたり支援を継続。2009年にJ2降格後、他のスポンサー企業が去る中、弥勒菩薩(みろくぼさつ)の「相助互恵」の精神を貫き、選手の人間的成長まで支援する独自のスポンサー活動を展開しています。

今回は、2007年のCSR推進事務局設立時から一貫して東京ヴェルディとの関わりを担当されている濱谷博通氏に、スポンサー活動の背景や意義、そして支援を通じて得られたものについてお話を伺いました。

 

あらゆる規模や業種のニーズに対応する「会計システムの百貨店」

事業の内容をお聞かせください

当社は全国の会計事務所とその顧問先企業、そして中堅・中小企業、小規模事業者向けに、経営システムおよび経営ノウハウ、経営情報サービスを提供しています。

 

一般的なITベンダーと異なり、企業のお客様だけでなく、会計や税務分野を強みとして税理士という税務のプロを相手にしているところが特徴です。税理士法人や個人の会計事務所を含めて、全国に約32,000の会計事務所がある中で、その4分の1にあたる約8,400の事務所が当社のユーザーです。北海道から沖縄まで、日本全国に展開しています。

 

そして、その事務所の顧問先である中小企業に加えて、個人事業主から上場企業まで幅広い規模の企業約10万社に当社のシステムをご利用いただいています。

 

当社の強みは、いわば「会計システムの百貨店」として、あらゆる規模や業種のニーズに対応できる点です。一般の企業の会計システムだけでなく、中小零細企業から上場企業向けの高度なシステムや、宗教法人や学校会計、医療法人といった特殊な業態にも対応しています。業種・業態・規模を問わず、まずは当社にご相談いただければ何かお役に立てるというのが特徴です。

 

2006年、ラモス監督との出会いから始まった19年

東京ヴェルディを支援することになった経緯をお聞かせください

2006年に当社のオーナーである会長が当時東京ヴェルディの監督をされていたラモスさんから「一度サッカーを見に来ないか」と誘われ、実際に見に行ったのがきっかけです。それまで当社はスポーツ関連のスポンサーをしたことがなかったのですが、この出会いが全ての始まりでした。

 

翌2007年に、私が初代事務局長として担当するCSR推進事務局が新設されました。当社は企業理念として「豊かな生活の実現」「文化活動への参加」「社会的人格の錬成」を掲げており、それまで当社は、上野の東京国立博物館や歌舞伎座、NHK交響楽団といった文化・音楽分野への協賛を行っていたのですが、それらの活動は会社として体系化されておらず、社員に共有されたり、社員が直接関わる機会はありませんでした。

 

そこで、CSR推進事務局が設立されると、社会貢献活動を社内の組織的かつ、対外的にも展開することになったのです。

 

ちょうどそのタイミングで東京ヴェルディさんとの出会いがあり、スポーツを通じた社会貢献や青少年の育成に取り組もうということになりました。私自身は担当をご指名いただき、初代事務局長として約20年近くこのCSR推進事務局を担当しています。

 

数あるチームの中で、なぜ東京 ヴェルディを選ばれたのですか

東京ヴェルディは名門で伝統がある、老舗のクラブチームです。スポーツを通じて青少年の育成にも力を入れており、ユース部門から優秀な選手を育てている育成クラブとして有名なのも特徴の一つです。

 

当社は来年50周年を迎えますが、オーナーは常に100年企業を目指すと語っています。東京ヴェルディも伝統のある名門クラブチームという点で、当社が目指す姿と重なる部分がありました。また、選手たちへの教育や育成を重視している点や、当社のベクトルと方向性が一緒だったことも、スポンサー契約を決めた大きな理由です。

 

しかしながら、スポンサーを始めて1年後の2009年シーズン、東京ヴェルディはJ1からJ2に降格してしまいました。そして2023年にJ1に復帰するまで、16年間J2に在籍し続けました。一般的に、この状況で15年以上もスポンサーを続ける企業はほとんどなく、実際に多くのスポンサー企業が去っていきました。

 

それでも当社がスポンサーとして残り続けた理由は、弥勒菩薩の精神にあります。当社の社名の由来も弥勒菩薩からきており、「人間愛と相互互恵(互いに助け合う)の精神」、つまり人が困っていたら助けるという考え方が根底にあります。

 

多くの企業が離れていく中で、一緒に去るのではなく、困っているのだから今こそ助けなければいけないという思いがありました。そして16年後、ついにJ1復帰という形で報われたのです。

 

お金を出すだけじゃない。選手の成長を支える深い関わり

東京ヴェルディとの具体的な関わりについて教えてください

味の素スタジアムでは、試合前に開催された東京ヴェルディ主催パートナー企業フットサル大会に社員が参加したり、毎試合社員やお客様を数百名招待したりしています。東京近辺のお客様を中心に、会計事務所や企業のお客様と一緒に観戦する機会を設けています。

 

さらに特徴的なのは、選手たちとの深い関わりです。今年1月、東京ヴェルディが宮崎でキャンプを行った際、当社社長の是枝が選手たちに講話を行いました。

 

日頃から選手一人ひとりへの理解を深めており、現役引退後のセカンドキャリアも見据えた人間的成長の支援を重視しております。その一環として、キャンプ地での練習後の夕食前に、「人として成長するには」というテーマで講話を実施しました。

 

講話では、「人格者になるには?」「自分の軸が折れない」「どんな状況でも常に自分自身でいられる」「その軸の周りに、①愛情、②思いやり、③優しさ、が自然に絡まっている人」、といった価値観について語られました。

 

当社は企業理念に基づき、スポンサーとしてただ単にお金を出すだけでなく、こうした領域でも支援したいと考えています。

 

スポンサー活動を通じて得られたものは何ですか

東京ヴェルディでは年に1回、パートナー交流会というスポンサー企業同士の交流会が開催されます。現在、東京ヴェルディには100社程のスポンサーがいるのですが、そこでの交流から新しい取引先が生まれたり、お互いの商品やサービスを利用し合う関係が生まれたりといったことがあります。

 

例えば、銀行さんとのご縁ができ、その銀行の取引先に当社のシステムを紹介して頂くなど、代理店制度を通じてビジネスが広がったケースもあります。

 

また新入社員の入社動機として、サッカーやスポーツを協賛するCSR活動に積極的な会社であることが挙げられております。

 

最近では、若いIT系の企業も東京ヴェルディのスポンサーになるケースが多く、成長意欲の高い企業と出会う機会にもなっています。名門だからこそ、そういった志の高い企業が集まってくるのだと思います。

 

東京ヴェルディに今後どうなってほしいですか

まずはJリーグ優勝です。昔は三浦知良やラモス瑠偉がいて、常に優勝争いをしていた時代がありましたが、名門復活を見せるにはやはり結果を出すしかありません。

 

育成クラブとして有名な東京ヴェルディのOBの選手が各チームにたくさんいます。そういった選手たちは「東京ヴェルディのカラー」を持っていて、キャリアを積んで他のチームに移っても、最後は東京ヴェルディに戻ってきたいという選手がたくさんいます。そういった恩返しの気持ちを持った選手たちと、また一緒に優勝を目指せるようになれば嬉しいですね。

 

スポンサーだからこそ学べる、組織の育成ノウハウ

スポンサー契約を検討している企業へのアドバイスをお願いします

ベンチャーの若い経営者にとって、東京ヴェルディは非常に参考になるクラブだと思います。底力を発揮して頑張っている姿勢や、育成に力を入れているところは、会社経営にも通じるものがあります。

 

特に注目すべきは、なぜ東京ヴェルディの育成が強いのかという点です。携わる人が変わっているはずなのに、育成のノウハウが脈々と残って、継続していることは会社でも必要なことです。ただお金を払ってスポンサーをするだけではなく、能動的に入り込んでいけばいろいろな手法を学べますし、それが楽しくもなってきます。

 

また、パートナー交流会などで、担当者や社長、役員の方々との交流の場に積極的に参加すれば、多くのヒントがもらえると思います。ただサッカーを見に行くだけでなく、もう少し深く関わることで得られるものは非常に大きいです。

名門復活への想い

最後に、東京ヴェルディへのエールをお願いします

目標はやはりJリーグ優勝です。結果を伴ってこそ、名門復活といえると考えています。当社は19年にわたり支援を継続してきましたが、だからこそ、明確な結果を示してほしいという思いは一層強くなっています。

 

サポーターの皆さんも、世代交代しながらもずっと応援し続けてくれていますし、東京ヴェルディがJ1にいる限り、サポーターも離れていかないでしょう。

 

スポンサーもサポーターも一緒になって、高齢化社会の中で、年を取っても楽しんで通ってもらえるような、そういったコミュニティがうまく盛り上がっていくことを願っています。

 

東京ヴェルディの名門復活を、これからも全力で応援し続けます。


本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:濱谷 博通 氏

1983年株式会社ミロク情報サービスに中途入社。京都支社長、名古屋支社長兼中部圏統括部長などを経て2015年に執行役員に就任。社長室長兼関係会社管理グループ長兼CSR推進事務局長。その後2020年執行役員、CSR推進事務局部門長を経て、2025年よりCSR推進事務局参与、現在に至る。

企業情報

法人名

株式会社ミロク情報サービス

HP

https://www.mjs.co.jp/

設立

1977年11月2日

事業内容

  • 税理士・公認会計士事務所およびその顧問先企業向けの業務用アプリケーションソフトの開発・販売
  • 汎用サーバー・パソコンの販売、サプライ用品の販売並びに保守サービスの提供
  • 経営情報サービス、育成・研修サービス、コンサルティングサービス等の提供

 

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