株式会社Sales Navi 代表取締役 田中 大貴

株式会社Sales Naviは、「営業教育」の新たなスタンダードをつくることを目指し、営業研修事業、営業コンサルティング事業、AI商談フィードバック事業の3つの事業を展開しています。「営業の道しるべをつくり、誰もが成果を上げることができる社会」をビジョンに掲げ、営業の原理原則を体系的に学び、実践できる環境づくりに取り組んでいます。今回は、キーエンスやプルデンシャル生命でトップクラスの営業成績を残し、2021年に同社を設立した代表取締役の田中大貴氏に、事業内容や起業の経緯、今後の展望について詳しくお聞きしました。

営業に教科書を。3つの事業で営業教育の常識を変える

事業の内容をお聞かせください

弊社は営業教育を行っている会社です。これまで営業には「教科書」と呼べるものがなく、入社後は商品やサービスを学んだ後、OJTを通じて独り立ちしていくのが一般的でした。しかし、それでは育成が属人化しやすく、成果にも大きな差が生まれてしまいます。

 

そこで当社では、「学ぶ」「型をつくる」「実践を改善する」という3つの観点から営業教育を支援しています。

 

1つ目は「ブレンディッドラーニング営業研修」です。

 

営業に必要な「知識」「スキル」「習慣・管理」「心構え」の4つを、「知る・分かる・やってみる・できる」の4ステップに沿って体系的に学びます。


eラーニングによるインプットとワークショップによるアウトプット、さらにピアラーニングを組み合わせることで、単なる知識習得ではなく実践・定着まで支援しています。研修の合間にはアクション宣言を行い、現場で実践と振り返りを繰り返すことで、学びを成果につなげています。

 

2つ目はコンサルティング事業です。

 

企業ごとに最適化された営業の教科書、すなわち「営業の型」を作成し、定着まで伴走します。

 

トップセールスへのインタビューを通じて暗黙知を形式知化し、営業フローやトークスクリプト、応酬話法などを整備します。その後もロープレ試験や継続的な改善支援を行い、組織として再現性のある営業体制の構築を支援しています。

 

3つ目がAIを活用した商談フィードバックサービスです。

 

商談やロープレの録音データをアップロードすると、AIが営業の原理原則に則って商談内容を評価し、商談の採点や強み・改善点、次回に向けたアクションをまとめたフィードバックを自動で作成します。上司や指導者による評価のばらつきを減らし、継続的な改善サイクルを回すことで、営業人材の成長を支援しています。

 

私たちは、この3つの事業を通じて営業の属人化を解消し、誰もが成果を出せる営業教育の仕組みづくりに取り組んでいます。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

教育によって人生が変わった原体験から、学生時代は教育者を目指して教育学を専攻していました。中学時代に進むべき方向を見失いかけた際、当時の教師から厳しく指摘を受けた経験があります。その言葉をきっかけに物事から逃げずに向き合うようになり、努力によって成長できる喜びを知りました。この経験が、教育に強い関心を持つ原点になっています。

 

その後、教育者として現場に立つだけではなく、より幅広いフィールドで活躍したいと考えるようになり、将来起業するために必要な「営業力」を身につけようとキーエンスに入社しました。2年半の在籍後、プルデンシャル生命からスカウトを受け、フルコミッションの世界に飛び込みました。

 

BtoBの有形商材とBtoCの無形商材という全く異なる営業を経験する中で、「営業の原理原則は商材や業界が変わっても共通している」という確信を持つようになりました。また、両社とも営業教育や人材育成の仕組みが非常に優れており、その経験は現在の事業の礎になっています。

 

その後、セミナー講師として多くの企業と関わる中で、営業人材の育成や営業の仕組みづくりに課題を抱える企業が数多く存在することを知りました。自分にしかできないことは何かを考えた時、営業の最前線で培った経験と教育学のバックグラウンドを掛け合わせた「営業教育」というテーマにたどり着きました。

 

日本には800万人以上の営業・販売職がいると言われています。正しいやり方を学び、成長し、成果を出せる人を一人でも増やしたい。営業に道しるべをつくり、誰もが成果を上げることができる社会を実現したいという思いから起業しました。

 

 

営業の道しるべを信念に、成果にこだわるプロフェッショナル集団

仕事におけるこだわりを教えてください。

当社のパーパス・ビジョンの根底にあるのは、営業の「負のサイクル」を「正のサイクル」に変えたいという思いです。

 

営業には教科書がなく、やり方が分からないまま現場に出て、成果が上がらず、自信を失い、営業そのものを嫌いになってしまう方が少なくありません。私は、それは本人の能力の問題ではなく、企業側に教育の仕組みがないことが大きな原因だと考えています。

 

正しいやり方を学び、実践し、成果が出る。成果が出るから仕事が楽しくなり、さらに成長できる。そのような正のサイクルをつくることが私たちの使命です。

 

そのため、私たちが最もこだわっているのは、「研修を売ること」や「コンサルを売ること」ではありません。お客様が抱える本質的な課題を見極め、最適な解決策を提供することです。

 

医師が症状だけでなく原因を診るように、私たちも目の前の課題だけでなく、その背景にある根本原因と向き合います。サービスを提供することが目的ではなく、お客様に成果を出していただくことが目的です。その姿勢だけは、これからも変わることはありません。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

最大の壁は、創業初期にSaaSプロダクトの開発へ注力していた時期です。外部からの出資に加え、多額の自己資金を投じてAIコーチの開発に取り組みました。

 

当時は営業に強い自信があり、「良いプロダクトを作れば売れる」と考えていました。しかし、プロダクト開発のセオリーである「小さく作って顧客の声を聞きながら改善する」という考え方を軽視し、開発と組織拡大を同時に進めてしまったのです。

 

いざリリースしてみると、自分自身が納得できる水準には達しておらず、多くの商談を重ねても受注につながりませんでした。大幅な赤字が続く中で、事業の方向転換を迫られることになりました。

 

そんな時に転機となったのが、お客様からいただいた言葉です。「SaaSという手段を求めているのではなく、Sales Naviのノウハウを提供してほしい」と言っていただきました。

 

その言葉をきっかけに、私たちが実現したいのはSaaSを作ることではなく、「営業に道しるべをつくること」なのだと改めて気づきました。手段に固執するのではなく、目的を実現するために最適な方法を選ぶ。その考えのもと、研修・コンサルティング事業へとピボットしました。

 

結果として、その経験が現在の事業の土台となっています。当時のエンジニアチームは開発を継続し、その知見は現在のAI商談フィードバックサービスにも活かされています。

 

 

営業教育市場を切り拓く使命

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

モチベーションの根底にあるのは、「営業に道しるべをつくりたい」という強い思いです。

 

営業は企業活動の根幹を支える仕事でありながら、いまだに体系的な教育の仕組みが十分に整っていません。その結果、本来成果を出せるはずの人が、やり方が分からないまま苦しんでいる現実があります。

 

私たちは、そんな状況を変えたいと考えています。「営業教育といえばSales Navi」と真っ先に名前が挙がる存在となり、営業会社に入社したら当たり前のようにSales Naviの教育を受ける。そんな営業教育のインフラをつくることが目標です。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

AIが発展するほど、営業人材の価値は二極化していくと考えています。

 

単純な情報提供や商品説明はAIに代替される一方で、顧客の課題を深く理解し、信頼関係を築きながら意思決定を支援できる営業の価値は、むしろ高まっていくでしょう。そのため私たちは、AIに営業を代替させるのではなく、AIを活用して営業人材の育成を進化させたいと考えています。

 

将来的には、営業一人ひとりの強みや課題、成長状況を可視化し、誰が上司になっても、誰が入社しても成長できる営業教育の仕組みを実現したいと思っています。

 

 

起業で変わる目線と器。得られる経験はかけがえのないもの

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

起業することは非常におすすめです。会社員として働くのと、自ら経営するのとでは、見える景色がまったく違います。

 

私自身、前職時代に多くの経営者と接する中で「自分にもできるだろう」と思っていました。しかし、実際に起業してみると想像以上に難しく、知っていることと実際にやることの差を痛感しました。

 

一方で、だからこそ得られる経験があります。事業や組織、お金、人との向き合い方など、あらゆることに対する目線が変わり、人として大きく成長できたと感じています。もちろん、起業は楽しいことばかりではありません。苦しいことや厳しい決断を迫られる場面も数多くあります。それでも、それ以上に得られる経験や成長があると思っています。

 

もし挑戦したいという気持ちがあるのであれば、ぜひ一歩踏み出してみてほしいですね。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:田中 大貴

キーエンスにて営業職に従事し、連続目標達成したのち、プルデンシャル生命にスカウトされ入社。入社以来11期連続社長杯入賞。2017年当時全国最年少で部長に就任。2017 – 2021年度MDRT TOT会員(上位0.01%の営業成果)認定。2021年株式会社Sales Naviを設立。

企業情報

法人名

株式会社Sales Navi

HP

https://www.salesnavi.co.jp/

設立

2021年4月9日

事業内容

  • 営業研修事業
  • 営業コンサルティング事業
  • AI商談フィードバック事業

 

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