株式会社モロ 代表取締役 前田 洋平

株式会社モロは、40代から60代のミドル・シニア技術者に特化した案件マッチングサービス「レガシーフォース」を運営しています。長年培ってきた技術や経験を持つ人材と、そうした人材を必要とする企業をつなぐことを使命としています。営業効率を重視した従来のマッチングサービスでは見過ごされがちなベテラン技術者一人ひとりに向き合い、自社開発のシステムとAIを活用した丁寧なマッチングを強みとしています。今回は、代表取締役の前田洋平氏に、事業を立ち上げた経緯やサービスに込めた思い、そして今後の展望について伺いました。

ミドル・シニア技術者の経験を、必要とする企業へ

事業の内容をお聞かせください

「レガシーフォース」という案件マッチングサイトを運営しています。特徴は、対象を40代・50代・60代のミドルからシニアの技術者に絞っていることです。20年から30年以上にわたって技術を積み上げてきた方々に、その経験を活かせる案件をご紹介しています。

 

このサービスを立ち上げた背景には、いわゆる「レガシーシステム」の存在があります。建物が長く使われるのと同じように、企業のシステムも30〜40年前に開発されたものが今なお稼働しているケースは少なくありません。

 

例えば、1960〜80年代に主流で、いまでは扱える20〜30代がほぼいない言語COBOLで構築された基幹システムはその代表例です。こうしたシステムを扱えるのは、当時の技術を知るベテラン技術者が中心であり、企業側にも継続的なニーズがあります。企業が求める人材と、シニア技術者が持つ経験がちょうど重なる領域だと考えています。

 

技術者のマッチングサービス自体は数多くありますが、シニアに特化したサービスはまだ多くありません。一般的なマッチング会社では、営業効率を重視するため、20代・30代の人材に注力する傾向があります。その結果、シニアの方は登録しても連絡が来なかったり、面談につながらなかったりするケースも少なくありません。私たちは、そうした方々にこそ価値を提供したいと考え、この領域に特化しました。 

 

私たちが向き合うのは、40代・50代・60代のベテラン技術者の方々です。 その上で、一人ひとりと丁寧にヒアリングを行い、技術領域だけでなく、業界経験や業務知識まで深く把握したうえで最適な案件をご提案しています。 

 

マッチングには自社開発のオリジナルシステムを使っており、AIなどの最新技術を取り入れているのも強みの1つです。マッチングサービスを内製化している企業は少ないですが自分たちの提案力を高めるために内製しています。

 

実際にミドル〜シニアの求職者の方々と接していると、皆さん想像以上にお元気で、就業意欲も非常に高いと感じます。最新技術を自ら学び続けている方も多く、「好きこそものの上手なれ」を体現されている方ばかりです。同じ50代でも、昭和と令和ではイメージがまったく違います。

 

今の50代は第一線でバリバリ働く現役世代です、 と私はよくお話ししています。現在の50代・60代は現役で活躍する方が多く、年下の上司のもとで働くことにも柔軟です。しかし企業側には、いまだに「40代まで」「50代まで」といった採用基準が残っており、働く人側の変化に追いついていない部分もあります。

 

こうしたミスマッチは、互いの希望条件だけで機械的にマッチングをしていても解決できません。だからこそ、人が丁寧に対話し、一人ひとりの経験や強みを理解したうえで企業とつなぐことに、大きな価値があると考えています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

もともとは理系でしたが、写真家になりたくて海外の大学へ進学し、日本でいう芸術学部にあたるアートスクールで学びまし た。昔から、ものを作ることや新しい価値を生み出すことが得意であり、何より好きだったことが原点です。

 

ファーストキャリアはITエンジニアで、約3年間、現場で経験を積みました。しかし、エンジニアとしてキャリアを極めるよりも、自分で事業を作り、立ち上げたいという思いが次第に強くなっていきました 。そこで転職したのが、まだ社員数が10数名だった創業期のビズリーチ(現ビジョナル)です。営業やマーケティングに加え、HR、海外事業、M&Aなど、さまざまな新規事業をゼロから立ち上げる経験を積みました。

 

もともと実家が家業を経営しており、会社を切り盛りする親の姿を見て育ったこともあって、「いつかは自分で旗を立てたい」という思いは以前から持っていました。親も同じくらいの年齢で起業していたことから、自分も38〜39歳のタイミングで独立し、レガシーフォースを立ち上げました。

 

まず自分自身で事業の型を作り、その後に任せられる仲間を増やしていく。この立ち上げ方は、ビズリーチ時代に学んだことです。初めてマッチングが成立し、一歩目の売上が立った瞬間は今でも印象に残っています。ビズリーチで培った経験は、現在の事業運営のあらゆる場面で生きていると実感しています。

こだわりを持ちすぎず、柔軟に

仕事におけるこだわりを教えてください

事業領域や、サービス内容にこだわりすぎないことでしょうか。時代や環境は常に変化していくものなので、その変化を柔軟に受け入れながら、状況に合わせて対応していくことが大切だと考えています。

 

良くも悪くも、一つの考えに固執するタイプではありません。その時々で最適な選択をしながら、柔軟に進んでいくことを心がけています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

まだ創業期なので、正直に言えば「すべてが課題」です。何か一つだけが課題というより、事業全体を通して改善すべきことが数多くあります。ただ、私はその状況を悲観してはいません。課題を一つひとつ解決していくこと自体が商売であり、事業づくりの醍醐味だと考えているからです。

 

だからこそ、課題が山積みであることは、会社が成長していく余地があるということでもあります。一つずつ着実に向き合い、乗り越えていきたいと思っています。

カオスを楽しみ、世の中の課題を解く

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

私のモチベーションを一言で表すなら、「エンジョイ・カオス」です。雑多で複雑な状況を楽しめる性格で、課題を解くことはもちろん、新しい課題そのものを見つけたり考えたりすることが、学生時代から好きでした。その延長線上に、今の創業期の仕事があると感じています。そのため、特別に苦労しているという感覚はあまりありません。

 

根底にあるのは、「世の中の課題を解くことこそが事業である」という考え方です。この価値観は、ビズリーチ創業者の南壮一郎さんが大切にされていた考え方であり、私自身もその考え方に大きな影響を受け、キャリアを通じて大切にしてきました。

今後やりたいことや展望をお聞かせください

抽象的に言えば、一番の目標は「事業を最後まで作りきること」です。世の中の課題を解決しながら、資本主義の中できちんと利益を生み出し、仲間とともに持続的な事業として成り立たせる。その仕組みを自分達の手で作り上げ、最後までやり遂げてみたいと考えています。

 

レガシーフォースにも、まだまだ広がる可能性があります。レガシーシステムの課題や、ミドル・シニア世代の働き方・雇用のあり方を変えていける余地は大きいと感じています。完成形を最初から決めるのではなく、事業を進めながら変化し、進化させていくスタイルです。

 

世の中には、まだ十分に活躍の場を得られていない優秀な技術者が数多くいます。その貴重な人材という資産を、企業や社会でもっと活かせる仕組みをつくりたいと思っています。その一環として、レガシーフォースで培ったマッチングの仕組みを活かし、AI領域の技術者に特化した新サービス「The Forward」の立ち上げも進めています。

 

ものづくりへの思いは、写真や芸術を学んだ学生時代から変わっていません。その原点と、ビズリーチで南さんから学んだ事業づくりの考え方を掛け合わせながら、社会に新しい価値を生み出す事業を実現したいと考えています。

 

時間軸を決め、仲間を作っておく

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

お伝えしたいことは2つあります。

 

1つ目は、「時間軸を決めること」です。何かに挑戦するときは、まず期限やタイムラインを決めることが大切だと思っています。物事はすべて、時間という条件の中で進んでいくものです。期限を決めたら、その期間の中でできることを一生懸命やってみる。

 

そうすれば、その時点でのベストな選択ができ、その積み重ねが次のベストにつながっていきます。自分でコントロールできることは意外と少なく、「時間軸を決めること」「とにかく行動すること」「一つひとつに全力で向き合うこと」くらいです。あとは偶然の出会いや巡り合わせも含めて人生なのだと思います。時間は自分が思っている以上に早く過ぎていくからこそ、期限を決めて行動することが重要です。

 

2つ目は、「仲間をつくること」です。仕事で関わる人はもちろん、大学時代の友人や趣味を通じて知り合った人、お客様も含めて、私はすべて仲間だと考えています。起業すると、会社の看板ではなく、自分自身の名前で信頼を築かなければなりません。

 

そのとき本当に力になってくれるのは、それまでに築いてきた仲間です。若いうちから目の前のことに一生懸命取り組み、誠実に行動していれば、少しずつ信用が積み重なり、自然と仲間も増えていきます。一つひとつの仕事や日々の所作が、将来の信頼につながっていくのだと思います。

本日は貴重なお話ありがとうございました。

起業家データ:前田 洋平 

海外大学で芸術を学び、帰国後はITエンジニアとして開発現場に従事。その後、創業期のビズリーチ(現ビジョナル)に参画し、営業・マーケティングを起点に、HR・海外事業・M&Aなど数多くの新規事業立ち上げを牽引。2024年、株式会社モロを創業し、代表取締役に就任。40〜60代のミドル・シニアITエンジニアに特化した案件マッチングサービス「レガシーフォース」を運営する。

企業情報

法人名

株式会社モロ

HP

https://morro.co.jp/

設立

2024年1月23日

事業内容

  • ITエンジニアリング事業(高度なエンジニアリング人材と革新的なソリューションで企業の技術課題を解決)
  • 40〜60代のミドル・シニアITエンジニアに特化した案件マッチングサービス「レガシーフォース」の運営
  • AIエンジニアに特化した案件マッチングサービス「The Forward」の運営
  • コンサルティング事業(急成長ITベンチャーでの経験を活かしたエンジニアリング戦略支援)
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