
株式会社STORY plusは、企業の経営幹部採用を支援する人材紹介と、シニア女性向けのダンスコミュニティ「らくリズ(RAKURIZU)」の運営をしています。人材紹介事業では、独自の『Will matching』を通じて、スキルや経験だけでなく、候補者と企業双方の想いや価値基準まで丁寧に見極め、入社後の活躍につながるマッチングを実現していることが同社の強みです。今回は、代表取締役社長の畑 圭一郎氏に、想いや価値観の一致を重視した幹部採用の考え方や、共感を起点に人や組織がつながる『社会共創型組織』のあり方について伺いました。
当社は、主に2つの事業を展開しています。1つはBtoBの経営幹部の採用支援です。個人の方にとっては転職支援にあたりますが、人材紹介の中でも経営幹部に特化して支援しています。もう1つは、BtoCでシニア女性向けのダンスコミュニティ「らくリズ(RAKURIZU)」を運営しています。この2つを軸に、人材紹介だけでなく組織コンサルティングも手がけています。
経営幹部の採用支援では、売上規模10億円ほどの企業からプライム上場企業まで、製造業、IT、サービス、小売りなど幅広い業界の企業を支援しています。
人材紹介会社は数万社存在すると言われており、年々増えています。そうした中で当社が強みとしているのは、当社経由で入社した方が、入社後に活躍されていることです。実際にお客様からも「STORY plus経由で入ってくる人はすごく活躍する」と評価いただいています。
その背景にあるのが、「Will matching」という採用哲学です。経営幹部にはスキルや能力が求められますが、それだけでは十分ではありません。本人の想いや考え方、価値観と、企業の経営方針や組織文化との相性が重要です。能力の高い方でも、環境との相性が合わなければ、本来のパフォーマンスを発揮できないことがあります。
そのため、個人の方とは面談を重ね、思考のパターンや仕事の進め方、意思決定の傾向などまで丁寧に見極めます。一方で企業側にも、「どんな人が欲しいか」だけではなく、「なぜそのポジションが必要なのか」まで深く伺います。経営者の方向性や現在の経営課題を理解したうえで、双方をつなぐことを大切にしています。
特に重視しているのが、経営者との相性です。たとえばCFOと経営者でリスクや時間軸に対する考え方が多少違うことは問題ありませんが、真逆ではうまく機能しません。アクセルを踏むためのブレーキは必要ですが、アクセルそのものを止めてしまうブレーキでは困ります。マネジメントスタイルや意思決定のスピード感も同じです。
大企業の複雑な稟議プロセスを非効率だと感じる方を、そうした環境の企業に紹介しても、入社後にミスマッチが起きてしまいます。経営幹部は仕事に対する持論やスタイルを持っているからこそ、企業との相性を見極めることが重要です。ここに真剣に向き合っている点が、他社のエージェントとの違いだと考えています。
もう1つの「らくリズ(RAKURIZU)」は、シニア女性にダンスを通して、生きがいコミュニティを提供する事業です。青春時代に流行した音楽に合わせて踊っていただき、「今が青春」をコンセプトに、シニア女性のみなさまに、今この瞬間を青春だと感じてもらえる場を作っています。
ダンスは上手に踊ることが目的ではありません。振り付けを間違えても構いませんし、身体が不自由な方にも、その方なりの楽しみ方があります。あくまでダンスをきっかけとしたコミュニティであり、週1回のレッスンを基本に、参加いただけます。中には週2回、3回と参加される方もいて、皆さんとても生き生きとされています。
現在は8拠点、55クラスを運営し、埼玉・東京・千葉・神奈川の関東4都県に加え、大阪・名古屋・神戸にも展開しています。会員数は約800名で、Instagramのフォロワーも約12万4000人まで広がっています。
インストラクターの採用と育成にも力を入れています。採用ではダンスの上手さよりも、「世界観への共感」と「それを体現できる人間力」を重視しています。採用後は4か月間のトレーニング期間を設け、ダンスだけでなく理念についても学んでもらいます。最後には実際のお客様に参加いただくテスト会を行い、一定以上の評価を得て初めてデビューできる仕組みです。

人材の事業に行き着いた原点は、新卒で入社した百貨店での経験にあります。先輩や上司が居酒屋では楽しそうにしているのに、会社や仕事になるとあまり生き生きしていない姿に、ずっと問題意識を持っていました。私自身もある先輩と衝突し、会社の外に出ようと考えたとき、「ここで働く人たちが、もっと笑顔になれないだろうか」と強く思ったことが、その後のキャリアを考えるきっかけになりました。
もう一つ印象に残っているのが、名古屋から東京へ転勤になり、初めて朝の山手線に乗ったときの光景です。通勤するサラリーマンの顔がとても疲れて見えて、「大人がもっと元気にならないと、社会も良くならないのではないか」と感じました。
そこで、組織を良くする方法を学びたいと考え、人材開発・組織開発を支援する会社へ転職しました。もともとは「百貨店を良くしたい」という思いがあったので、人材を外から紹介するのではなく、組織の中から変えていく仕事を選びました。
さまざまな企業を支援する中で見えてきたのが、社員一人ひとりの意識だけでなく、社長や部長といった経営幹部がどのような人であるかによって、組織が大きく変わるということです。そこで適所適材の重要性を強く感じるようになりました。
もともと、いつかは起業したいと漠然と考えていました。そこで、起業するなら経営幹部の適所適材を支援できる仕事がしたいと考え、エグゼクティブサーチの会社へ転職しました。これが現在の人材事業につながっています。
振り返ると、私は幼少期から人に対する関心が強かったのだと思います。小学生の頃には「1日に1人会えば、人生で何人の人に会えるのだろう」と考えていました。また、当時複雑だった家庭環境の影響もあり、人の目を気にして育ったことで、人がどう感じているのかを敏感に察するようになりました。そうして培われた、人の機微を捉える力が、今の仕事にもつながっていると感じています。
譲れないのは、真剣に取り組むことと、目の前の人に良い価値を提供することの2つです。この2つは事業を進めるうえでの軸になっています。
真剣に取り組む姿勢は、小学校から大学まで続けた野球が土台になっています。一生懸命やることの大切さを野球を通じて教わりました。加えて、父が稀にする仕事の話にはいつも「お客様に誠実に」と言っていたことも自分の根っこに残っていると思います。
一方、いい価値とは何かの定義が変わったのは、2社目の研修・組織コンサルの会社に移ってからです。お客様への価値を徹底して追求する環境で「畑さん、それって本当に意味あるの?」とよく問われ、答えられない自分がいました。
たとえばお客様が「コミュニケーションが問題だ」とおっしゃったとき、そのまま改善策に飛びつくのではなく、「そのコミュニケーションって何ですか」と一段深く伺うと、本質的な課題が次々に出てくるのです。そこから、それならこちらを改善しましょうと提案へ展開できるのです。5年ほどその環境にいた経験が自分の仕事の質を大きく引き上げてくれました。
この姿勢は社員の採用基準にも通じています。まず大前提となるのは当社の考え方に共感があることです。そのうえで重視しているのが、人の機微を感じ取れる力が高いことです。言葉の選び方や語尾のニュアンス、表情から、同じ回答でも「この人はまだ腹落ちしていないな」と気づけるかどうか。そうした人を見る洞察力の高さを、採用のときに大切に見ています。

壁というほど大げさではないかもしれませんが、雇用した社員との向き合い方には苦労しました。会話のたびにすごいアイデアが出てくるのに、翌週その雲を掻き分けると何も残っていない、ということが起きたりトラブルが起きても隠して自分で抱え込んでしまうことがあり、どのように向き合えばよいか悩みました。
もう一つ印象に残っているのが、新しい事業を始める際の社内の反応です。「らくリズをやります」と伝えたときには、一部の社員から「そんなことをやるんですか」と戸惑う声がありました。ただ、私自身はそれを壁だとは思いませんでした。自分の中では「これはやるべきだ」と決めていましたし、やると決めた以上、周囲の反応に左右されるつもりもありませんでした。
新しいことを始めるときに、最初から全員が賛同してくれることはほとんどありません。だからこそ、自分が信じていることを続け、まずは形にしていくことが大切だと思っています。
実際、らくリズも事業として形になっていくにつれて、周囲の見方が変わっていきました。当時「そんなことをやるんですか」と言っていた社員が、今では「らくリズはすごいんですよ」と周囲に話しています。そう考えると、新しいことを始めるときは、最初から理解を得ようとするのではなく、自分が正しいと思ったことを信じて、まずは形にしていくことが大切なのだと思います。
進み続けられるのは、これはいけると自分が信じ切れているからです。正しいと思えているからこそ、周りが何を言おうと突き進める。それが自分の信念なのだと思います。
もう1つ、起業のきっかけになった言葉があります。ある経営者の方に「いつかこんな事業をやりたい」と飲みながら話したとき、「明日やればいいじゃん」と返されたのです。子どもが3人いるため、「まずはいくらか貯めてから…」と答えると、「何でお金を貯めなきゃいけないの?それは君のプライドでしょ。死ななきゃいいじゃん」と言われたのです。
その言葉を聞き、うまくいかずに失敗した、惨めだと思われるのが嫌だ、という気持ちがどこかにあって、やらない自分がいたのだと気づかされました。あの言葉が、起業に踏み出す一番の後押しになったのだと思います。

根底にあるのは、事業を通じて1人でも多くの方が豊かな人生を歩めるようにしたい想いです。当社ではウェルビーイングという言葉を使っていますが、そこにつながるビジネスなら私は何でもよいと考えています。そのために必要な要素を整理しており、それぞれに紐づく事業を今後も広げていきたいです。
そのうちの1つがコミュニティ事業の構想です。今はシニア女性のダンスコミュニティですが、ビジネスパーソン向けにも、損得ではなく、純粋に人とつながれる感覚を思い出せる場をつくりたいのです。さらに、社員と外の人がつながって新しいものが生まれるシェアオフィスのような場所も実現したいと思っています。
そして、社員の想いを形にできる会社でありたいと考えています。何をやるかも大事ですが、どんな気持ちでやるかもとても大切です。私がやりたいことだけでなく、理念に共感してくれる社員が「それならこんなことをやりたい」と想いを実現できる、そんなチームになっていきたいと考えています。
実際、現在30名弱いるメンバーも、ほとんどが人とのつながりや理念への共感をきっかけに参画しています。創業して1週間ほど経った頃、前職で転職相談に乗った元経営者の方に起業したことを報告したところ、今ではパートナーとして一緒に事業に取り組んでいます。
らくリズの事業責任者を務める宇野も、社員からの紹介をきっかけに加わってくれました。前職時代に私の面接を担当してくれた中村とも、今は同じ会社で働いています。こうした人とのつながりによって組織が広がっていくこと自体が、私たちが掲げる「社会共創型カンパニー」を体現しているのだと思います。
メンバーの年齢も23歳から68歳までと幅広く、親子ほどの年齢差があります。大手企業で役員を務めた方もいれば、学校を卒業したばかりのメンバーもいて、普段なら交わる機会の少ない人たちが、肩書きやスキルではなく、思いや価値観への共感によって集まっています。
そのため、一般的な会社のような上下関係を強く意識する組織ではありません。私が社長だと知って驚く人もいますが、会社の理念を実現するための議論であれば、立場に関係なく意見を言ってほしいと思っています。
そうした関係性を大切にしながら、2040年には250億〜300億円規模の事業へ成長させることを目指しています。その先も、人との縁や共感を起点に新しい事業を生み出しながら、社会共創型カンパニーとして挑戦を続けていきたいと考えています。
まずは自分を信じてやってみることだと思います。心はホットに、頭はクールに。勢いだけでも悪くはないのかもしれませんが、準備もしっかりしながら進んでいただきたいのです。
そのうえで大切なのは、中途半端にやらないことです。一生懸命に、本気で考え抜くところまでやれば、必ず何かしら開けると思います。そこまでやれば、拾ってくれる人も出てくるし、アイデアも湧いてきます。逆に、少しやっただけで「やったつもり」になっていては、なかなか道は開けません。精神論のように聞こえるかもしれませんが、私はそこが本当に大事だと思っています。
もう一つ、2社目の社長に薦められた『大きく考えることの魔術』の考え方も大切にしています。人は、自分が思い描いた方向にしか進めません。たとえば高尾山に登りたいと思って準備をして、エベレストに登れることはまずありません。
しかし、エベレストに登りたいと思って準備をしていれば、高尾山には簡単に登れるはずです。どこまで大きな目標を描き、そこに向けて準備できるかによって、実際に到達できる場所も変わってくるのだと思います。
私自身、当社が2040年に250億円から300億円規模になるイメージは持っています。ただ、それより先の規模については、まだ自分の中で具体的にイメージできないので、今は言えません。結局のところ、自分がどこまで大きく描けるかが、その先を決めるのだと思います。
たとえば、孫正義さんが創業時に会社の利益を豆腐のように「1丁、2丁」と数えたという逸話があります。そこに当時から細かな計画があったとは思いませんが、どこへ向かうのかという方向感と、そこへ進もうとする強い想いは間違いなくあったはずです。
若い頃は、どれだけ緻密に計画を立てても、その通りには進まないことのほうが多いものです。だからこそ、本気で考え抜きながら、目の前のことに一生懸命取り組み、一つひとつ積み重ねていくことが大切です。少しだけ良い生活がしたいという程度の想いだけでは、大きなことを成し遂げるのは難しいのではないでしょうか。
大学まで野球に打ち込み、卒業後は百貨店に入社。その後、人材開発・組織開発を支援するベンチャー企業へ転職し、企業の人材育成や組織づくりの支援に携わる。さらに幹部人材採用支援の会社にて経営層人材の採用支援を担当し、多くの経営者と関係を築く。2020年に株式会社STORY plusを創業。現在は企業の幹部人材採用支援とシニア女性向けダンスコミュニティ「らくリズ」の運営を軸に、人と組織の可能性を広げ、豊かな人生の創出に取り組んでいる。
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法人名 |
株式会社STORY plus |
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HP |
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設立 |
2020年3月3日 |
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事業内容 |
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