ジェネリック化粧品株式会社 代表取締役 新津 和也氏

ジェネリック化粧品株式会社は、「高品質な化粧品を、誰もが継続して使える価格で届ける」ことを目指し、開発から製造、お客様のお肌に届くところまでを一気通貫で手がけています。過度な広告費やブランド料、流通コストなど、品質に直結しないコストを見直し、その分を商品の品質へ投資。高品質なスキンケアを、無理なく続けられる適正価格で届けられる点が強みです。今回は、代表取締役である新津和也氏に、独自の定期便モデルや世界初の新商品を含む今後目指す「美容の民主化」の展望について伺いました。

高品質なスキンケアを適正価格で

届けるための無駄を廃した定期便モデル事業の内容をお聞かせください

当社が手がけているのは、化粧品のD2C事業です。商品の開発からお客様のお肌に届くところまでを一気通貫で自社工場で担い、商品がお客様に届くまでにかかるコストをできる限り抑えることで、その分を品質に還元しています。美容成分を充実させながら、続けやすい価格で提供していることが特徴です。

 

従来の化粧品D2Cでは、広告や初回価格を工夫して「いかに買ってもらうか」が重視される傾向があると感じていました。そこで当社が大切にしているのが、「いかに良いものを続けやすくするか」という考え方です。「続けさせる」のではなく、お客様自身に「続けたい」と思っていただける商品やサービスをつくることを軸にしています。

 

その考え方を象徴しているのが、「ジェネリック化粧品」というコンセプトです。化粧品市場では、品質を求めると価格が高くなり、価格を抑えると品質とのバランスが難しくなることがあります。当社は、その中間にある「品質にも価格にも納得できる合理的な選択肢」をつくりたいと考えています。

 

サービス面では、2回目以降が半額になる定期便を採用しています。多くのD2Cが初回価格を大幅に下げるなか、当社は初回を定価とし、その後を安くする設計です。「長く使う人ほど続けやすいほうが自然」というユーザー視点から生まれた仕組みで、2回目の継続率は約8割となっています。また、商品ごとの使用ペースに合わせて、定期便の内容を柔軟に入れ替えられるようにしています。

 

商品自体にも特徴があります。例えば化粧水は、一般的な商品では水が主成分になることが多いなか、当社では美容成分を主成分としています。全成分表示では水が5番目に記載され、その上位4成分はすべて美容成分です。

 

目指しているのは、デパコス級のクオリティを、ドラッグストアで手に取れるような価格で届けることです。品質か価格かのどちらかを選ぶのではなく、その両方に納得しながら長く使っていただける化粧品を提供していきたいと考えています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

この事業のきっかけは、美容師時代に感じた化粧品業界への違和感でした。当時、サロンでしか買えないことを付加価値としていたシャンプーが、実際にはインターネットでも販売されているのを見て、「その付加価値は本当にお客様のためになっているのだろうか」と疑問を持つようになりました。

 

それなら、同じように品質の高いものを、もっと納得できる価格で届けられるのではないか。そう考え、知識も経験もほとんどない状態から、最初のヘアケアブランドを立ち上げました。

 

広告に使える資金がなかったため、楽天市場を中心に販売を始めましたが、口コミを通じて徐々に広がり、約5,000件のレビューが集まる商品も生まれました。ランキングでも継続的に上位に入り、品質の高い商品を適正な価格で届けるという考え方には、一定のニーズがあることを実感しました。その後、この事業は売却しています。

 

一方で、事業を運営するなかで新たな課題も見えてきました。OEMで製造を委託する仕組みでは、どれだけ商品企画を工夫しても、品質と価格を自分たちが理想とする水準まで両立させることには限界があったのです。

 

そこで次に考えたのが、商品の企画だけでなく製造まで自社で担うことでした。自分たちでつくり、自分たちで販売することで、余計なコストを抑え、その分を商品の品質に還元したいという思いで、ジェネリック化粧品株式会社を創業しました。

 

嘘のない事業と、毎日欠かさないユーザーインタビュー

仕事におけるこだわりを教えてください

私が最も大切にしているのは、ユーザーに背かない、嘘のない事業をすることです。これは当社の信念として、社内でも徹底しています。

 

そのため、無理に一過性の流行をつくることは考えていません。目指しているのは、高品質な化粧品を日々の生活の中に浸透させていくことです。これまで価格を理由に使えなかった方にも、できるだけ多くその機会を届けたいと考えています。

 

それは、商品を販売することだけに限りません。例えば、当社でロスになる化粧品は、認定NPO法人フードバンク山梨を通じてシングルマザーの方々に寄贈しています。さまざまな形で高品質な化粧品に触れられる機会を広げていくことも、私たちが考える「美容の民主化」の一つです。

実は私の母もシングルマザーとして家族を支えてきました。限られた収入のなかで、化粧品のような”自分のためのもの”にお金をかけることがどれだけ難しいか、子どものころから間近で見てきた経験があります。だからこそ、多くのお母さんたちに「品質を諦めずに、続けられる価格で」化粧品を届けたいという思いは、単なる事業戦略ではなく、私自身の原体験からきているものです。

 

同時に、本当にユーザーにとって良い商品やサービスをつくるためには、こちらの思いだけで判断しないことも重要です。そのため当社では、毎日お客様へのインタビューを行い、最低でも1日2人から直接お話を伺っています。良かった点だけでなく、不満や改善してほしい点も含めて、率直な声を聞かせていただいています。

 

お客様に直接お話を伺うことで、私たちだけでは気づけなかった使い方やニーズ、不便に感じている点など、新たな発見が生まれることがあります。その一つひとつを見ながら、「次に何を変えるべきか」を考え、商品やサービスの改善につなげています。

 

 

遠くに目標を置き、できると信じて進む

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

進み続けられる一番の理由は、目標をとても高く置いていて、心から「まだまだだ」と思えていることです。常に「全然足りない」と感じていますし、はるか遠くに目標を置く癖があります。

 

もともと私は、経営者になるためのキャリアを積んできたわけでも、化粧品開発の経験があったわけでもありません。美容師からスタートして、必要になったときにその都度学び、壁にぶつかりながら、一つひとつ乗り越えてきました。振り返ると、何か特別な才能があったというより、必要なことを吸収しながら成長してきたタイプなのだと思います。

 

だからこそ、自分自身にも会社にも、まだまだ伸びしろがあると感じています。高すぎる目標を掲げると、途中でモチベーションが切れそうに思われるかもしれませんが、私は基本的に「できる」と思っているので、不安よりも楽しみのほうが大きいです。ここは自分でも少し変わったポジティブさだと思っています。

 

これまでは、自分自身が動いて成功体験を積み重ねてきました。ただ、これからは組織を大きくしていくために、「自分がやらないことで成果を出す」という新しい成功体験も積んでいかなければなりません。自分にとっては、そこが次のチャレンジです。

 

私自身も、会社も、ジェネリック化粧品という事業も、まだ成長の途中です。これまでと同じように、分からないことを学びながら一つずつ進んでいけば、まだまだ大きくなれると思っています。その感覚があるからこそ、今も前向きに挑戦を続けられているのだと思います。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください

まだD2Cとしてもやり切れていない段階ですが、その先に見据えているのはSPAの業態です。ユニクロやニトリのように、商品の開発から製造、販売までを自社で担い、より良いものをより手に取りやすい価格で届けられる企業を目指しています。

 

今後はECだけにとどまらず、リテールにも販路を広げ、国内から海外へと展開していきたいと考えています。最終的には、「化粧品といえば当社」と第一に想起してもらえるようなブランドになることが目標です。

 

海外展開を考えるうえでは、韓国コスメが一つの競合になると見ています。韓国コスメは品質と価格のバランスに優れていますが、メイドインジャパンの品質も決して負けていません。当社では現在、原料そのものの自社培養にも取り組んでおり、商品だけでなく原料の段階から工夫することで、品質を高めながら価格を抑える体制づくりを進めています。

 

そのためには、商品だけでなく組織も次の段階へ進めなければなりません。これまでは私自身がCEO・CFO・COOの役割を担ってきましたが、今後の成長を考え、事業サイドを任せられるCOO候補を迎えました。経営と事業執行の役割を分けることで、私自身も次の成長に向けた仕事へ、より時間を使える体制をつくろうとしています。

 

また、新しい美容液の開発も進めています。北海道大学発のスタートアップと共同で、乳酸菌由来のダブルエクソソームを配合した美容液を開発しており、すでに製造段階に入っています。

 

この原料の特徴は、品質だけでなく価格や持続可能性まで含めた合理性にあります。一般的なエクソソーム原料には高価なものも多い一方、今回は廃棄されるホエイをアップサイクルして活用することで、コストを抑えながら商品化することができます。高品質なものを、より多くの人が使いやすい価格で届けるという意味でも、当社が掲げる「ジェネリック化粧品」の考え方を体現する商品だと考えています。

 

今後はこうした商品を増やしながら、D2CからSPAへ、ECからリテールへ、そして国内から海外へと事業の幅を広げていきます。

 

 

為せば成る。課題があれば何者にでもなれる

起業しようとしている方へアドバイスをお願いします

大切なのは、信念と目標、そして解決したい課題を持つことだと思っています。私自身も、常に目の前に何かしらの課題があり、それを一つずつ解決しながらここまで進んできました。何かを変えたい、解決したいという強い思いがあれば、人は何者にでもなれると考えています。

 

当社では「為せば成る」という言葉をTシャツに入れ、みんなで着ています。結局は、やるかどうかです。夢や実現したいことがあるのであれば、まずは挑戦してみることが大切だと思います。

 

そのうえで、乗り越えるために意識しているのは、できるだけ早く行動することです。もちろん、成功の確度を高めるために考える時間は必要ですが、机の上で悩み続けても答えが出ないことは多くあります。実際にやってみることで初めて見える課題もありますし、そこから次の打ち手も見えてきます。

 

だからこそ、考えたらまず動いてみる。失敗しても、そこから学んで次に進めばいい。何事も「やってみる」に尽きると思っています。

 

本日は貴重なお話ありがとうございました。

起業家データ:新津和也 氏

美容学校卒業後、サロン勤務を経て美容の現場を知る。専売品の価格や流通に課題を感じ、2017年にヘアケアブランドを立ち上げ、商品開発からEC運営までを手がける。その後、事業売却(M&A)を経験。2020年に「ジェネリック化粧品」の商標を取得し、2021年にジェネリック化粧品株式会社を創業。高品質・低価格なスキンケアを展開している。

企業情報

法人名

ジェネリック化粧品株式会社

HP

https://generic-cosmetics.co.jp/

設立

2021年8月2日 

事業内容

  • 「高品質なスキンケアをすべての人へ」を掲げ、適正価格で購入できる高機能コスメを開発。

 

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