ベンチャー企業という言葉は知っていても、その定義までは知らないという方は多いのではないでしょうか。ベンチャー企業は、大企業では行っていないような独自のサービスや技術を提供する新興企業です。

 

本記事では、ベンチャー企業の定義やスタートアップとの違いなどについて詳しく解説しています。起業を成功させるコツも紹介しているので、ベンチャー企業の立ち上げを検討している方はぜひ参考にしてください。

ベンチャー企業の特徴とは?

ベンチャー企業の定義は、日本政策金融公庫の「現代のベンチャー企業を知る」資料によると下記のように定義されています。

 

「ベンチャー企業とは、革新的な技術・製品・サービスを開発し、イノベーションを生み出す企業であり、設立数年程度の若い企業」

 

近年の日本に多いベンチャー企業の特徴として、以下の3つが挙げられます。

 

  • 会社規模は数人から数百人程度
  • 人材が集まりにくい
  • 成長できる可能性が高い

 

ITやweb関連だけでなく、テクノロジー関連やコンサルティングなど、ベンチャー企業が存在する業界は多岐にわたります。

 

会社規模は数人から数百人程度

ベンチャー企業の社員は、数人から数百人程度が一般的です。設立時点での規模はあまり大きくなく、無名の状態から始まるケースも多いです。

 

しかし、成長度は企業によって大きく異なります。革新的なサービスを生み出しているベンチャー企業の場合は、事業の成長と共に起業からわずか数年で何百人もの社員を抱える企業も存在します。

 

人材が集まりにくい

ベンチャー企業の起業当初は、規模が小さく、知名度も低いため人材が集まりにくい傾向があります。そこで、給料を相場よりも高く設定し、質の高い人材を確保しています。ベンチャーで起業を考えている場合は、その点も踏まえて予算を多めに確保することが大切です。

 

また、革新的なビジョンを抱えている場合は、ビジョンに共感する人材が集まる場合もあります。SNSなどを通して的確に情報発信ができれば、自社に合う人材の確保がしやすくなります。

 

成長できる可能性が高い

ベンチャー企業は、向上心の高い人や逆境・プレッシャーに強い人が集まりやすく、刺激を受けながら自分の成長にもつながりやすいです。

 

また、ベンチャー企業を起業する場合、事業だけではなく営業や経理などさまざまな業務を自分で担当することもあり、幅広い業務知識がつきます。さらに、経営知識を勉強したり、事業のノウハウを確立させることができれば、起業家として成功する可能性も高くなります。

 

ベンチャー企業とスタートアップ企業の違い

ベンチャー企業と似た印象を持つ言葉に、スタートアップ企業があります。ベンチャー企業とスタートアップ企業の大きな違いは、目標達成までの期間です。スタートアップ企業は、革新的なビジネスモデルで短期的な目標達成が目的なのに対し、ベンチャー企業は既存のサービスに変化や工夫を加えたサービスの展開で中長期的な目標達成が目的となっています。

 

そもそもスタートアップ企業とは、新たなビジネスモデルを作り上げ、短期間で成長している企業のことであり、アメリカのシリコンバレーで使われ始めた言葉です。

 

スタートアップ企業は短期的かつ新しく、ベンチャー企業は中長期的に既存のビジネスを変化させて展開すると考えておきましょう。

 

ベンチャーとして起業する手順

ベンチャーとして起業する手順は、大きく分けて5つのステップがあります。

 

  1. 起業の目的を明確にする
  2. 起業して何をするか決める
  3. 資金を調達する
  4. 起業の手続きをする
  5. 事業を始める

 

ベンチャーのみならず会社を起業する際は、しっかり流れを把握したうえで準備することが大切です。勢いだけで起業してしまうと、事業がうまくいかなくなるケースもあります。

 

1.起業の目的を明確にする

まずは、起業の目的を明確にすることが大切です。目的が曖昧だと、事業を進めていく中で方向性がブレやすくなります。

 

起業する際に失敗しやすい目的としては下記のようなものが挙げられます。

 

  • とりあえず社長になりたい
  • 会社員は嫌だから起業したい
  • みんなが儲かってるから起業したい

 

軸となる目的をしっかり決めておくことで、経営判断もスムーズになります。

 

起業は、起業することが目的ではなく「なぜ、起業をしたいのか?」「どのような会社をつくりたいのか?」「ビジネスを通して、自分はどうなりたいのか?」など、目的を達成するための手段が起業であることを忘れないことが重要です。

 

2.起業して何をするか決める

次に、起業の目的に沿って「誰に」「何を」「どのように売るか」などのビジネスモデルを考えます。具体的には、商品やサービス事業などが挙げられますが、自分の好きなことやスキル、社会的ニーズなどを整理した上で、扱うものを決めていきます。

 

頭の中で考える以外に、紙に書き出したり、誰かに話したりするなど、アウトプットすることが大切です。始めは経営が不安定になる可能性があるため、収益の期待値が高い事業が無難と言えます。どうしても決められない場合は、起業セミナーやコミュニティに参加すると、アイデアが見つかりやすくなります。

 

3.資金を調達する

初期費用がかかる事業を始める場合は、資金調達が必要になります。どんなに良いアイデアや熱量があっても、資金が足りなければ実現することは難しいです。また、将来的な成長も目指す場合は、現状足りないリソースの確保だけでなく、蓄積も考えなければなりません。

 

代表的な資金調達方法は下記の通りです。

 

  • 銀行からの融資
  • 投資家やベンチャーキャピタルからの出資
  • クラウドファンディング
  • 補助金や助成金

 

それぞれの、資金調達方法にも、それぞれメリットデメリットがあるため、必要資金や調達の難易度なども踏まえた上で検討しましょう。

 

ベンチャー企業の資金調達方法やメリット、デメリットは以下を参考にしてください。

 

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ベンチャー企業の資金調達方法とは?具体的なやり方やメリットとデメリットを解説

 

4.起業の手続きをする

一般的な起業と聞くと法人設立を思い浮かべる人は多いです。しかし、個人事業主としても開業することが可能です。

 

法人として起業する場合は、登記書類の準備や各役所での手続きが必要になります。具体的には、会社用の実印や定款作成、資本金の支払いなどです。登記だけでなく、法人口座の開設なども事前に確認しておきましょう。

 

個人事業主として開業する場合、登記や資本金の支払いなどは不要ですが、税務署へ個人事業の開業届出書や所得税の青色申告承認申請書の提出が必要となります。

 

個人事業主としての起業なら、費用を最小限に抑えられるため、資金面で不安がある場合はまずは個人事業主として開業することも視野に入れてみましょう。

 

法人や個人事業主として起業する際の準備に関して、詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。

 

関連記事

起業や独立前の準備で必要なことを解説|やることリストを活用して成功させるコツ

 

5.事業を始める

起業準備が整ったら、実際に事業を始めていきます。経営は計画通りに進まないことがほとんどです。雑務に追われて、本業に集中できないケースもあります。

 

また、事業を開始してから1年経つまでは、慣れない事務作業に戸惑うことも多いです。年間スケジュールをしっかり把握し、タスク管理は徹底して行いましょう。万が一の時の対策も事前に考えておくと、安定的な経営を実現しやすくなります。

 

ベンチャーでの起業を成功させるコツ

ベンチャーでの起業を成功させるコツとして、以下の3つが挙げられます。

 

  • サービス内容を絞り込む
  • 事前に資金調達をしておく
  • 必要な手続きを全て済ませておく

 

コツを踏まえて起業の準備を行うことで、起業後の経営が順調に進みやすくなります。

 

サービス内容を絞り込む

起業を成功させるためには、サービス内容を絞り込むことが大切です。ターゲット層や販売チャネルを定め、どのようなサービスを提供するのか具体的に考えましょう。

 

社会のニーズを把握し、収益性を確保しながら価値を提供できるよう、さまざまな角度からビジネスモデルを確立させます。

 

事前に資金調達をしておく

起業時に必要な資金は少なく済んだとしても、開発資金などの事業拡大に関する資金は多額となるケースが多いです。また、経費が嵩んだりトラブルに発展したりするなど、意図していないシーンでお金が必要になる場合もあります。

 

事業拡大のために、自己資金で足りない場合は、資金の調達方法について考えなければなりません。

 

少なくとも開業後3ヶ月分の資金を準備しておくのが一般的です。少しでも多く資金調達をしておくと、より安心して経営をスタートできます。

 

必要な手続きを全て済ませておく

起業を成功させるためには、必要な手続きを事前に済ませておくことも大切です。起業方法によって必要な手続きは異なります。

 

事業内容によっては、特別な許可が必要になるケースもあるので注意が必要です。経営が始まると、日々忙しくまとまった時間を確保する余裕はなくなるかもしれません。本業に集中するために、余裕があるうちに手続きを済ませておきましょう。

 

ベンチャーでの起業に成功した例

ベンチャーでの起業に成功した例として、以下の4社が挙げられます。

 

  • 株式会社サイバーエージェント
  • ラクスル株式会社
  • 株式会社ビズリーチ
  • 株式会社メルカリ

 

ベンチャーでの起業を成功させるためには、成功例を参考にすることも大切です。良い部分は積極的に取り入れていきましょう。

 

株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントは、メディア事業やプログラミング事業、ゲーム事業などインターネット関連の事業で大きく成長した会社です。有名なサービスとして、Amebaやグランブルーファンタジーなどが挙げられます。

 

株式会社サイバーエージェントは、新規事業コンテストや子会社を若手に任せる風土が特徴です。向上心の高いメンバーが集まっていて、若い会社でも活躍できる雰囲気作りが成功した秘訣

と言えます。

 

ラクスル株式会社

ラクスル株式会社は、インターネット印刷サービスを提供している会社です。印刷工場が稼働しない時間を有効活用するシェアリングエコノミーを発案しました。また、配送業界では運送会社が稼働しない時間を利用して、荷主と運送業者をマッチングさせるサービスを提供しています。

 

ラクスル株式会社は、事業を次々と展開していくのが特徴です。挑戦を後押しする風土が、成功した理由として挙げられます。

 

株式会社ビズリーチ

株式会社ビズリーチは、転職サイト「ビズリーチ」を運営する企業です。海外で行われているヘッドハンティングの手法を取り入れ、人材サービスに革新を起こしました。

 

社員の挑戦したいことや意見を尊重する風土があり、風通しが非常に良いのが特徴です。また、経営層の熱量が高く、社員も刺激を受けています。企業のビジョンをしっかり共有できている点が、成功につながったと言えます。

 

株式会社メルカリ

株式会社メルカリは、フリマアプリ「メルカリ」を開発し、CtoC事業で大成功を収めた会社です。

 

若い社員が活躍できる風土があり、新卒採用にも力を入れてます。社員の意見を年齢や役割問わずどんどん取り入れたのが、成長した秘訣と言えます。

 

ベンチャー.jpではさまざまな業界の起業家にインタビューしています。起業した経緯や成功のポイントを詳しく知りたい方は「起業家インタビュー」をご覧ください。

 

ベンチャーの起業では事前準備を徹底する

ベンチャー企業の特徴や起業までの手順を理解しても、必ず成功するとは限りません。起業では事前準備も重要と合わせて、起業後のイレギュラーな事態に対して、臨機応変に対応できるかどうかが重要です。

 

初めて起業する人は、初めてなことが多く戸惑ってしまうかもしれませんが、落ち着いて適切な対応ができれば会社の成長を早めることもできます。起業を考えている人は、今回解説した内容を参考にして起業前の手順を正しく踏み、安定した経営を目指しましょう。

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