
Brewtope株式会社は、全国各地のクラフトビールを生活者や飲食店へ届けるプラットフォームを運営し、流通から配送までを一貫して支えることで、クラフトビール市場の裾野を広げています。代表の金澤俊昌氏は、ヘッドハンティング会社やBEENOS株式会社での新規事業立ち上げを経て同社を創業し、クラフトビール定期便「Otomoni」を軸に事業を拡大してきました。今回は、事業の全体像や創業の経緯、仕事のこだわり、そして今後の展望や採用への想いについて伺いました。
私たちは、クラフトビールに特化したプラットフォームを運営しています。BtoC・BtoBの双方に向けたサービスを展開し、全国各地のクラフトビールの流通を支援しています。流通から配送までを一貫してサポートすることで、クラフトビール市場そのものの拡大を目指しています。
クラフトビール定期便「Otomoni(オトモニ)」では、提携するブルワリーは500社以上にのぼり、累計で5,000銘柄以上を扱ってきました。異なる種類のクラフトビールを隔週でお届けする仕組みで、継続率は97%に達しています。モノを扱うサブスクリプションサービスでは、一般的に退会率が10%前後になるといわれているなかで、当社のサービスは多くのお客様にご支持いただいています。
継続率を高めるために意識しているのは、お客様が辞める理由を一つずつ取り除くことです。たとえば飽きの問題に対しては、毎回中身の異なる6本をお届けし、福袋のような出会いや発見の体験を提供しています。
また、消費が間に合わずビールが余ってしまう問題に対しては、配送頻度を自由に変更できるようにしました。アプリからスキップや停止、再開ができ、届く本数も6本と12本から選択できます。こうした柔軟な仕組みによって、生活のリズムに合わせて利用を続けられる設計にしています。
お酒のサブスクリプションサービスの多くは、その分野に詳しいファン向けですが、Otomoniのお客様はクラフトビールに興味はあるものの、まだ深くはハマっていないライト層が中心です。地方の工場でしか購入できないビールを試してみたいという方々に支持していただいています。
一方で、私たちはOtomoniに加え、BtoB向けの卸事業も展開しています。ビアパブやボトルショップといったクラフトビールの専門店だけでなく、イタリアンや和食店などへのクラフトビール導入を支援しているのが特徴です。
ランチの客単価を上げたい、会食需要を取り込みたい、看板メニューを作りたいといった店舗ごとの課題に合わせてラインナップを提案し、どのような店舗でどのようなビールが売れるのかというデータを蓄積しています。
そもそも酒類の流通は、メーカー、問屋・酒屋、小売店や飲食店という三層で成り立っています。しかし、要冷蔵かつ小ロットが基本のクラフトビールは、酒屋にとって扱いづらい商材です。そのため、大手化した一部のブルワリーを除き、多くは酒屋を介さずにボトルショップやビアパブと直接取引を行っています。
私たちは、こうした業界課題に対してコールドチェーンを活用した物流網を構築し、混載配送や賞味期限管理などのノウハウを飲食店向けに提供しています。また、特定の銘柄を提案するのではなく、「こういう味わいのビールが欲しい」といった要望に応じて最適な商品を提案できる点も強みです。売り方とロジスティクスを一体で設計するのは簡単ではありませんが、そこに当社ならではの独自性があると考えています。
こうした事業を支えているのが、500社を超えるブルワリーとの信頼関係です。私たちが大切にしていることは二つあります。一つは品質管理です。クラフトビールの約7割は要冷蔵で、酵母が生きたフレッシュな飲み物です。冷蔵配送と品質管理を一貫して担うことで、造り手が安心して商品を預けられる環境を整えています。
もう一つは、クラフトビールを手に取る人を増やしていくことです。クラフトビール業界には熱心なファンが多い一方で、まだ一般層への浸透余地があります。Otomoniを通じてこれまでイベントや専門店に足を運ばなかった方々にも商品を届けることで、実際に現地のブルワリーを訪れるお客様も生まれています。
過去にはブルワリーの方から「東京の会員さんが来てくれた」と連絡をいただいたこともあり、私たちが新しい顧客との接点づくりに貢献できていると感じています。

今の事業の原点は、私自身の家庭における実体験にありました。
一番最初のきっかけは、かつて妻と非常に不仲な時期があり、コミュニケーション不足を解消したいと考えたことです。週末の夜に子どもが寝た後、近所のコンビニエンスストアやスーパーマーケットでは見かけない珍しいお酒を買い、一緒におつまみを作ってゆっくり飲む時間を設けました。
当時、私はビアフェスをきっかけにクラフトビールにハマっていたのですが、地元のビールを飲みながら「こんなのがあるんだ」と会話が弾む時間はとても新鮮でした。そして、お酒そのもの以上に、その体験が夫婦のコミュニケーションを豊かにしてくれることに価値を感じたのです。
この経験から、日常的に手に入らないお酒を定期的に届けるサービスを思い付きました。当時はクラフトビールの専門サービスを作ろうという意識よりも、夫婦間のコミュニケーションを促進するという狙いのもとで事業展開を考えていました。
とはいえ、アイデアがあっただけで事業を立ち上げられるわけではありません。私自身、以前から起業に関心を持っており、そのための準備としてキャリアを積み重ねてきました。
もともと起業に関心を持っていたものの、どのような事業が成功するのか分からなかったため、まずはビジネスの仕組みを学ぼうと考え、新卒で人材業界に入りました。社長営業などを経験する中で経営者の考え方に触れ、さらにリーマン・ショックの厳しい環境下でも成長を続けるインターネット事業を目の当たりにしたことで、事業づくりへの関心が一層強くなっていきました。
その後はネット系企業の投資部門などで経験を積み、自ら事業を立ち上げる機会を模索していました。そうした中で、家庭での実体験から生まれた「コミュニケーションを豊かにするサービス」というアイデアと、自分のキャリアで培った事業づくりの知見が結びつき、現在の事業の立ち上げへとつながりました。
現在のクラフトビール事業に至るまでにはいくつかの変遷がありますが、根底にあるのは「日常のコミュニケーションを豊かにしたい」という想いです。それが、今も変わらない事業の出発点になっています。

こだわりは、どちらかと言えば「こうはありたくない」という思いがベースとなっています。その視点でいくと、スタートアップによくみられる、短期間で景気よく売り抜けて一年後には事業を畳んでいる、というやり方には虚しさを感じてしまいます。短いスパンでの成長よりも、まずは社会に何かを残すためにできることを考えたいと考えています。
それでも、私たちが今こうして事業に挑戦できているのは、過去に道を切り拓いてきた先駆者たちがいるからだという事実も忘れてはなりません。今の時代には最適化されていないように見えたとしても、業界の構造や市場、そして文化をゼロから築き上げてきた先人たちがいたからこそ、現在の私たちのビジネスも成り立っています。
だからこそ、私たちはバリューに「リスペクト」を掲げています。私たちが今ある業界や市場の上に立たせてもらっているという感覚を常に持ち、あらゆる物事に対して、まずは敬意から始めるという姿勢を大切にしています。
そのため、クラフトビールの業界を「壊して作り変える」という発想は、私たちにはありません。30年もの間、こだわって美味しいビールを造り続けてきた人たちがいて、その熱量があるからこそ熱狂的なファンが生まれ、私たちもこうして事業をできています。
私たちの存在から物語が始まったわけではなく、すべてはブルワリーの皆さんが人々を魅了するビールを作ってきたからこそ今があります。その前提を決して忘れないようにしています。
正直に言うと、年々しんどさに麻痺してきて、個別のエピソードがだんだん薄れていくような境地にいます。残高がない、誰かがトラブルを起こした、といったことは数えきれないほどありましたが、結局は一つずつ超えていくしかありませんでした。
事業面で特に苦労したのは、BtoB向けの卸売オペレーションを構築することです。私たちは500社を超えるブルワリーと取引していますが、それぞれの商品をどのように仕入れ、流通させるかを設計する必要があります。
クラフトビールは賞味期限が短いため、在庫を常に適切な状態で回転させなければなりません。そのため、厳密な賞味期限管理はもちろん、複数の販売チャネルを活用しながら最適な在庫配分を行うなど、緻密なオペレーションが求められます。
さらに、多くのブルワリーは大規模生産を行っているわけではありません。一度在庫を切らしてしまうと、次回の入荷まで長期間販売できなくなるケースもあります。そのため、「在庫を切らさないこと」と「余剰在庫を持たないこと」を両立させなければなりません。
こうした複雑な条件を踏まえながら流通の仕組みを構築していくことは、これまでの事業の中でも特に難易度の高い挑戦だったと感じています。
クラフトビールは、飲み物としても、業界としても、文化としても本当に面白い領域です。最近は国内でも盛り上がりを見せており、安定したキャリアを捨ててまで参入する人が増えています。また、ワールドビアカップで金賞を獲る日本のブルワリーも現れるなど、世界基準の評価も得てきました。ものづくり大国である日本の良さが、この業界にも表れていると感じます。
一方で、業界にはまだ大きな課題があります。優れたビールが数多く生まれているにもかかわらず、サプライチェーンや流通の制約によって、国内ですら十分に知られていないケースが少なくありません。海外展開も限定的で、その価値が広く届いているとは言い難い状況です。
しかし私は、クラフトビールには大きな可能性があると考えています。現在はまだ一般的な知名度の向上が課題ですが、ラーメンやパン、コーヒーのように、日常の生活動線の中に自然と溶け込み、日本の豊かな食文化を支える存在になれるはずです。
私の目標は、クラフトビールを日本を代表する産業にまで引き上げることです。一朝一夕で成し遂げられることではありませんが、これから先の長い時間をかけてでも、その未来へ到達したいと考えています。

起業のハードルは、かつてと比べ確実に下がっています。資金もノウハウも、AIをはじめとするインフラも整い、誰もが挑戦しやすくなっています。一方で、まだ解決されていない課題は、以前よりも少なくなってきているとも感じます。
だからこそ、目の前の課題を解決するだけでなく、10年後、20年後の社会をどうしたいのか、を自分なりに言語化できるかどうかが大切だと思います。それができていれば、どんな事業をやっていても根本がぶれることはありません。自分が簡単には諦めず続けていける事業を探すべく、なぜ起業したいのか、という問いに、折に触れて向き合ってみてほしいと思います。
現在、積極的に採用を進めています。募集するポジションは時期によって変わりますが、セールス、事業開発、PdM、エンジニア、バイヤー、マーケター、オペレーター、物流経験者など、職種は多岐にわたります。メンバーのバックボーンも実にさまざまです。
今は事業を一層多様化させていくフェーズにあるため、長い目線で市場を作ることにチャレンジしたいという想いを持った方に、事業と組織のトランスフォームを一緒に作っていってほしいと考えています。
働き方は、リモートと出社のハイブリッドです。週に一度出社日を設けており、それ以外の日は各自の裁量で自由に選択しています。
入社時はクラフトビールにそれほど詳しくなかったメンバーも、日常的にクラフトビールに触れ、その魅力について語り合う環境の中でだんだんと魅力にのめり込んでいます。商品を販売する身としてまずは自分たちが一番のファンになる、そんな環境を大切にしています。
採用に関する詳細やご応募はこちら。
東京理科大学卒業後、ヘッドハンティング会社にて最年少マネージャーとして幹部人材の紹介業務に従事。2013年にBEENOS株式会社の社長室に参画し、国内有望起業家の発掘やリクルーティング体制の構築、企業の立ち上げ支援を担当する。2014年、BEENOSからスピンアウトする形でmeuron株式会社(現・Brewtope株式会社)を設立し、代表取締役に就任。2019年にクラフトビール定期便「Otomoni」を開始。2023年1月に株式会社ギフティ(東証:4449)の子会社となり、スイングバイIPOを目指す。2024年、Otomoniのサービス5周年を機に社名をBrewtope株式会社へ変更。
|
法人名 |
Brewtope株式会社 |
|
HP |
|
|
設立 |
2014年10月(旧社名:meuron株式会社) |
|
事業内容 |
|
関連記事
関連記事