
株式会社ロビットは、ロボティクス・AI・ソフトウェアを一貫内製し、外観検査を自動化する「TESRAY シリーズ」と、生成AI活用を支援するAIソリューション事業を展開しています。特許技術による高精度な撮像と、欠陥の程度に応じた判定によって人の感覚を再現できる点、そしてハードからソフト、導入後の伴走まで一気通貫で提供できる点が強みです。今回は、代表取締役社長である橋本優希氏に、事業を始めた経緯や起業から今までの最大の壁について伺いました。
当社は、「フィジカルAI」の実現を掲げ、ロボティクスなどのハードウェア、その制御に必要なAI、そして周辺のソフトウェアまでを一貫して自社で開発し、お客様に提供している会社です。主軸となるのは2つの事業で、1つは外観検査を自動化する「TESRAY シリーズ」の展開、もう1つは工場全体での業務効率化をサポートするAIソリューション事業です。
「TESRAY シリーズ」で取り組んでいるのは、食品や工業製品の出荷前に行われる目視検査の自動化です。お茶に虫が混入していたり、ボトルが凹んでいたりすると、大きなクレームにつながりかねません。そのため多くの工場では、ラインに数十人が並び、ひたすら製品を目視で確認するという作業が今も残っています。
特に「なんとなく違和感がある」といった人の感覚的な判断が重要視されることも多く、自動化は進みにくいのが課題でした。当社はそこに特許技術を持つAIで挑んでいます。
まずカメラで綺麗に撮像する技術、そして撮った画像から欠点を検出し、傷や汚れの程度に応じてレベル分けをする技術です。軽微な傷は許容し、重大な欠陥だけをロボットで排出するという、人の感覚に近い判断をAIで再現できるようになったことが、私たちの最大の強みだと考えています。
製造業の現場では人手不足が構造的な課題になっており、労働人口は今後50年でおよそ半分になると言われています。検査工程だけでも製造業従事者の20人に1人が携わっているのが現状で、ここを自動化できれば生産性の向上に直結します。培ってきた不良品データやAIモデルの蓄積によって今後ももっと自動化を加速させたいと考えています。
もう1つのAIソリューション事業では、生成AIを現場でどう活用するかという課題に向き合っています。セキュリティや使いやすさなど、現場に導入するための壁は意外と多く、お客様ごとにカスタマイズしながら提供しています。私たち自身も製造業の当事者として、ハードからソフト、導入後の伴走まで目線を合わせてサポートできることが強みです。

実家が製造業を営んでいたこともあり、現場が抱える課題は肌で感じていました。学生時代にAI技術の盛り上がりを目の当たりにする中で、その技術と製造業の課題がうまく噛み合っていないと感じたのが原体験です。
このギャップをどうにかして埋めたいと思い、学生時代に株式会社コズムを起業しました。実際には事業が思うように進まず、何度もピボットを重ねながら、少しずつ形にしてきたというのが正直なところです。
そうして試行錯誤を重ねる中で、志を同じくする株式会社ロビットと出会いました。互いの得意・不得意を補完し合える関係だと確信し、事業をともにすることを決断しました。現在はより一層、現場のお客様に対する支援を強化しています。
一番大切にしているのは、現場に根ざすことです。私たちの製品はカタログを見て選んでいただいて終わり、というものではなく、お客様ごとに合わせてつくり込む必要があります。営業もコンサルティングに近い形になりますが、実際に現場に足を運んでみないと、本当に解決すべき課題は見えてきません。
1日、時には1週間ほど張り付いて、ようやく「こうすればいいのか」という答えが見つかることも多く、そこから初めて良いプロダクトやソリューションが生まれます。スタートアップというとキラキラしたイメージを持たれることもありますが、特に製造業ではそういった地道な向き合い方こそが重要だと感じています。
もう1つ大切にしているのが「熱狂」です。人間が最も幸せを感じるのは、新しい景色を見たときや、想像もしていなかったことが起きたときだと思っています。
昨年経験したロビットとコズムの統合のように環境が短期間で大きく変わる場面もありますが、そうしたタイミングも含めて熱狂し続けられる環境をつくりたいと考えています。現場を見ずに提案しても見当違いになってしまうことがほとんどなので、そこは常に重視しています。

一番の壁は、キャッシュフローと人材です。製造業向けの設備を扱う以上、仕入れが先行するビジネスモデルにならざるを得ず、スタートアップにとっては資金繰りが厳しい局面が何度もありました。
ただ、お客様から前金をいただくなどして、なんとか乗り越えてきましたし、完全に自己資金、エクイティ100%かつデットベースで経営してきたことは、私たちの特徴の1つだと思っています。
資金繰りが厳しくなると、私はとにかく手を動かします。トップが危機感を持ちながらがむしゃらに行動している姿勢を見せることで、社員のコスト意識も自然と変わってくると考えたからです。キャッシュフローに対する不安と向き合う方法は、結局のところ手を動かすことに尽きると思っています。
「根拠のない自信」を持ち続けることが、とても大切だと思っています。
ロビットは今、上場に向けて動いていますが、そこをゴールにするつもりはなく、売上1兆円を目指し、日本を代表する会社をつくりたいと考えています。もちろん製造業を強くして日本を強くしたいという社会的な使命もありますが、突き詰めると一番の理由は「面白いから」です。
人生は一度きりなので、そうした大きな目標を追いかけている時間そのものに熱狂していたいですし、その時々で面白いと思える意思決定を積み重ねていけば、自然と大きな目標にたどり着けるのではないかと思っています。
まずは、売上1兆円を達成したいです。
検査の事業を起点に、工場のお客様にさまざまな価値を届け続け、グループ経営としても大きくしていきたいと思っています。ロールアップ戦略やM&Aによる非連続的な成長も引き続き行っていく方針で、将来的には自分たちの技術を使って自分たちでものづくりをすることも視野に入れています。
製造業DXの市場規模は4兆〜5兆円ほどですが、年20%ほどのペースで成長を続けており、これほど堅実かつ伸びの大きい市場は少ないと感じているので、そこにも大きな可能性を感じています。

まずは登記をすること、そして何でもいいので早いうちに売上を立てることだと思います。準備を整えてから動き出すのが正しいやり方に見えるかもしれませんが、見切り発車のような要素も実は大切です。
エクイティ調達をしながらシングルプロダクトで勝負するようなスタートアップのつくり方ももちろん良いと思いますが、初日から売上を立てるまでのスピードが遅い会社が多いと感じています。
何でもいいので、まずは売上をつくり、お客様との接触の機会を増やしていくことが大事です。振り返ってみても、自分自身もっとそうすればよかったと反省している部分でもあります。
慶應義塾大学商学部卒業。経済同友会最年少会員。在学中よりベンチャー企業を中心にプロジェクトマネージャー・コンサルタントとして事業開発・組織改善に従事。2021年、UBS Next Generations Academyを修了。2022年11月、株式会社コズムを創業。2023年11月、株式会社キョウデンとの合弁会社・株式会社KC技研を設立し代表取締役社長に就任(兼任)、同月株式会社キョウデン取締役にも就任。2024年11月、キョウデンとカーライルとの戦略的パートナーシップ締結を経てキョウデン取締役を退任。2026年2月、株式会社ロビットを子会社化し、
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法人名 |
株式会社ロビット |
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HP |
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設立 |
2014年6月 |
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事業内容 |
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