
株式会社NEXT ONEは、電力小売ブランド「新日本エネルギー」を中心としたコンシューマープラットフォーム事業と、障害のある方の就労を支援する農園型の障害者雇用支援事業を展開しています。営業会社としての強みを生かし、土日でも当日中に電気を開通できる対応力や、企業の障害者雇用の悩みに寄り添う仕組みづくりが特長です。今回は、電力市場価格の高騰による経営危機や債務超過を乗り越える中で培われた経営観や組織づくりへの考え方、そして多くの人に支えられてきたからこそ芽生えた、今度は自らが社会に貢献していきたいという想いについて伺いました。
当社のメインは電力小売事業です。「新日本エネルギー」の名で自社サービスを展開しており、現在は全国で約8万世帯のお客様に当社の電気をご利用いただいています。
この電力事業は、主にBtoC向けに提供しています。いわゆる「新電力」と呼ばれる会社が約700社ある中で、当社もそのうちの一社です。不動産仲介会社などの代理店を通して、引越しをされる方へ「新しい電力を使いませんか」と提案しています。
「新日本エネルギー」の強みは、手続きの手軽さと対応の速さにあります。引越し先で電気の申し込みを忘れていた場合でも、お電話をいただければ、土日でも当日中に電気を開通できる体制を整えています。
また、問い合わせ窓口の受付時間を長く設けているため、困ったときに相談しやすく、「電話がつながりやすい」ことも特徴の一つです。支払い方法についても、クレジットカード、口座振替、窓口払いなど、複数の選択肢を用意しています。
こうしたサービス体制の背景にあるのが、営業会社として培ってきた経験です。実際にお客様と接してきたからこそ分かるニーズをサービスに反映し、利用者目線に立った、きめ細かな対応を大切にしています。
もう一つ、2024年から始めたのが障害者雇用支援事業です。現在、障害者手帳をお持ちの方は約1,000万人ほどいらっしゃいます。先天的に障害のある方もいれば、後天的に精神障害となる方もいますが、そうした方々に働く場を提供していく事業です。当社は現在、「めぐるファーム 新百合ヶ丘農園」として1,000坪の土地を借りて建物を建て、そこで野菜を作っていただいています。
背景には、企業に障害者雇用が求められている一方で、法定雇用率を達成している企業が半数に満たないという実態があります。雇用できていない企業は、雇用する意思がないのではなく、採用方法や評価方法、定着に向けた取り組み方が分からないために雇用に踏み出せていないのです。
そうした企業に障害のある方を紹介し、当社の農園で働いていただきながら、企業側に雇用していただく仕組みを提供しています。企業にとっては、雇用実務に関する不安や負担を抑えながら、法定雇用率の達成という課題を解決できる仕組みになっています。

電力事業や障害者雇用支援事業にたどり着く以前、当社の原点には、私自身の営業経験があります。
前職では訪問販売の営業に携わり、入社から3ヶ月ほどでトップセールスを記録しました。その後は支店長として札幌に赴任し、営業だけでなく組織のマネジメントも経験しました。そこで培った営業力や、人をまとめながら成果をつくる経験が、自分の大きな強みになっていきました。
もともと起業を志していたわけではありませんでしたが、営業で結果を出し、支店運営まで経験したことで、「自分の力で事業をつくれるのではないか」と考えるようになりました。そして24歳のとき、札幌で起業しました。
創業当初も、自分たちの強みは営業でした。大きな資本や明確な事業モデルがあったわけではなく、まずは他社の商品やサービスを販売するところから事業を始めています。振り返ると、前職で身につけた営業力が、起業のきっかけであり、その後の事業づくりを支える土台にもなっています。
私が大切にしているのは、「他責にしないこと」と「挑戦し続けること」です。良い結果も悪い結果も他人のせいにせず、自分の責任として受け止める。常に矢印を自分に向けることが、成長につながると考えています。
また、人生で一番後悔するのは、「やろうと思えばできたのに、やらなかったこと」だと思っています。挑戦して失敗した経験は次に生かせますが、挑戦しなかった後悔は残り続ける。だからこそ、やったことのないことにも積極的に挑戦する姿勢を大切にしています。
その考えは、社名の「NEXT ONE」にも込めています。チャーリー・チャップリンが「最高傑作は何か」と聞かれ、「次の作品だ」と答えたという逸話があります。過去の成果に満足せず、次に生み出すものが最高傑作になるよう挑戦し続けたいという思いから、この社名をつけました。
社員に対しても同じで、当社では「社員の成長」を経営理念の一つに掲げています。働く時間が本人の成長につながっているかを重視しており、そのためには、これまでできなかったことに挑戦する機会が必要だと考えています。
電力事業も障害者雇用支援事業も、もともとは新規事業として始めたものです。未知の領域への挑戦には不安や苦しさもありますが、それを乗り越える過程に成長がある。会社としても、社員とともに新しい挑戦を続けていきたいと考えています。

最大の壁は、2021年に起きた電力の仕入れ価格の高騰です。当社は2019年から電力小売事業を始めましたが、当時は販売を伸ばすことに意識が向き、仕入れ価格が変動するリスクへの備えが十分ではありませんでした。
その結果、想定を大きく超える価格高騰に直面し、1ヶ月で8.5億円の損失を計上し、3.5億円の債務超過に陥りました。「このままでは会社がなくなるかもしれない」と、本気で考えました。
最初の半年ほどは、その事実を完全には受け止めきれませんでした。それでも、会社を存続させるためにはやるしかない。事業、組織、コスト、営業体制、あらゆるものを見直しました。そして、私の意思決定を信じ、実行してくれたのが社員でした。
この経験をきっかけに、「会社とは何か」「組織とは何か」を根本から考え直しました。経営者一人の力で会社は立て直せない。意思決定するのは経営者ですが、それを実行し、結果に変えてくれるのは組織です。
採用についても、従来から大切にしてきた誠実さに加えて、自ら考え、判断できる人材をより重視するようになりました。
当時は人生で最も苦しい時期の一つでしたが、今振り返れば、あの経験がなければ今のNEXT ONEはなかったと思います。
経営を始めて約20年になりますが、振り返ると、これまで本当に多くの人や社会に支えられてきたと感じています。
特に、会社が潰れていてもおかしくないほどの経営危機を経験し、そこから何とか立て直すことができたことで、その思いはより強くなりました。
だからこそ、人生の後半戦は、自分が支えてもらう側ではなく、社会や人を支える側でありたいと考えています。会社としても、一人の人間としても、これまで受けてきた支えを社会に返していく。それが今の私にとって、大きなやりがいであり、生きがいになっています。

目指しているのは、「この会社がなくてはならない」と言ってもらえる存在になることです。そのためには、一つの事業にこだわるのではなく、時代や社会のニーズに合わせて事業そのものを変化させていく必要があると考えています。
新たな事業をつくるうえで大切にしたいのが、収益性と社会課題の解決を両立することです。会社として継続的に成長し、社員の生活を支えるためには利益が必要です。一方で、事業を通じて社会の課題を解決することにもこだわっていきたいと思っています。
特に障害者雇用支援では、働き方や職種の選択肢をさらに広げていきたいです。現在構想しているのが、企業のBPO業務などを担うサテライトオフィス型の「めぐるワーク」です。将来的には、日本の伝統工芸の承継など、別の社会課題と障害者雇用を掛け合わせた事業にも挑戦したいと考えています。
「めぐる」という名前には、人が働くことで社会に貢献し、その価値がまた社会へ還元されていく、そんな循環をつくりたいという思いを込めています。
これからも、社会にとって必要なことを事業として成立させ、関わる人すべてに価値が生まれる仕組みを一つずつつくっていきたいです。
そのためにも、一緒に働く仲間を募集しています。
今見えている景色ではなく、今見えていない景色を求めて高みを目指す人が当社に合うと思います。大きく変わろうとすることは、漢字にすれば「大変」です。その大変さを楽しんでいける人に来てほしいと思っています。
当社は、言うなれば終わらない文化祭を毎日やっているような会社です。文化祭は準備している時が一番楽しいものです。「どんな文化祭にしよう」と考えて行動している時間が楽しいのです。一人ひとりが当事者意識を持ち、それを楽しいと思える人はとても向いていますし、それこそがベンチャーだと思います。
そして、変化し続け、進化し続ける組織でもあります。1年前と今では、求められることがまったく違います。昔は営業会社でしたが、営業手法や組織体制も大きく変わり、今は営業をやっている人はほとんどおりません。それだけ変化し、進化している組織のため、その変化を楽しめる方と一緒に働きたいと考えています。
起業は、思い通りにならないことが圧倒的に多いものです。私も望んで債務超過になったわけではなく、会社がなくなるかもしれない状況にまで至りました。ですから、失敗しない方法をお伝えすることはできません。
ただ一つ言えるのは、失敗したことと失敗で終わることは違うということです。失敗してもそこで終わらなければ、それは途中経過になります。起業するなら、最初から完璧な答えを探すよりも、まずやってみる。そして失敗したら変える。それを繰り返すことだと思います。そして最後には、やめなかった人間にしか見えない景色があると思っています。私自身、これからもその景色を見に行きたいと思っています。
1982年千葉県生まれ。高校卒業後、進路を模索しながら、外資系営業会社へ入社。当初は苦手意識のあった営業職に本気で向き合い、わずか3ヶ月で全国トップセールスを記録。最年少で札幌支店長に抜擢され、営業と組織マネジメントの基礎を学ぶ。
2006年12月、24歳で札幌にて仲間とともに独立・起業。2007年6月に株式会社NEXT ONEを設立し、2008年4月に東京へ進出。 27歳で営業利益1億円を達成するも、フロー型ビジネスに危機感を抱き、ウォーターサーバーなどのストック型ビジネスへ転換。30歳で経営を体系的に学ぶため大学院(MBA)へ進学した。 2019年に電力小売事業へ参入。2021年、電力市場価格の急騰により、わずか1ヶ月で8.5億円の損失を計上し、3.5億円の債務超過に陥る。その後、組織の仕組み化や事業再構築を断行し、11ヶ月で債務超過を解消しV字回復を遂げ、2025年5月期には売上高91億円を達成した。
現在は、全国約8万世帯に電力を供給する『新日本エネルギー』を中心とした電力小売事業に加え、障害者雇用という社会課題の解決を目指す『めぐるファーム』を展開。経営危機をはじめとするさまざまな経験を経て、『人生の後半戦は社会への恩返し』を掲げ、収益性と社会課題の解決を両立する事業づくりに取り組んでいる。
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法人名 |
株式会社NEXT ONE |
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HP |
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設立 |
2007年6月14日 |
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事業内容 |
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